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全国の名物研究所

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名物調査 【神奈川県】

 都道府県別の美味しいもの図鑑は、シウマイから神奈川を語らせていただきましょう。

 シウマイの値上げの理由は、BSE問題により牛の代替需要で豚肉が徐々に高騰したり、オホーツク海産の乾燥貝柱が中国での需要増大で値上がりしているためだとか。
 「昔ながらのシウマイ15個入り」が40円値上がりし、550円なる……。
 まあ、そんなニュースが流れても、ほとんどの人は「別に?」と思われるでしょうね。
 しかし、神奈川県民にとっては話が違います。ことは一大事ともいえるのです。
 かくいう私も神奈川県出身なので他人事ではありません。

 神奈川県民にとって崎陽軒のシウマイといえば、魂を揺さぶる「ソウルフード」に他ならないのです。これほどに神奈川県民の心に深く浸透している食べ物は他にはないと思います。

 なーんでそんなことが起こるのか……。
 よく、街へショッピングに出かけ、帰りが遅くなった時、「あーあ、今日はめんどくさいからお弁当ごまかしちゃおう」とか、「出来合いのおかずを買って後はご飯を炊くだけにしよう」なんて奥様方は多いでしょう。
 今でこそ、コンビニやホカ弁がどこにでもあって、弁当とか惣菜とか簡単に買えるようになりましたが、むかし(30年以上前かな)はコンビにもホカ弁もなく、スーパーの惣菜コーナーや総菜屋さんも夕方になるとめぼしいものは売り切れになる……。奥様方は楽をするのも大変だったわけ。
 きっとそんなニーズを崎陽軒は見越していたんでしょうね。横浜や川崎などの大きな駅のコンコースやホームの売店で、シウマイやシウマイ弁当を山積みにして、家路を急ぐ奥様方の心を捉えてきたんです。
 だから、神奈川県民の食卓には、年に数回、いや数十回と崎陽軒のシウマイが上りことになります。
 食べたことがある方はご存知でしょうが、このシウマイ、ホタテの貝柱をたっぷりと入れてあり、それが他にはない独特な食感と風味をかもし出すんですね。まあ、ある意味くせになるというか……。
 そうやって、食べ親しんでいくと、この崎陽軒のシウマイから逃れることができなくなるのです。これが親から子へと代々受け継がれるようになり、神奈川県民は今も崎陽軒のシウマイを食べ続けています。幸か不幸は、崎陽軒のシウマイは「おふくろの味」にもなってしまいました。
 神奈川名物、横浜名物、数々あれど、県民から一番支持されている名物はやっぱり崎陽軒のシウマイだと思います。

 実はいつもでシウマイが買える、神奈川県や東京都などに住んでいるとあまりわかりませんが、私のように崎陽軒の店がないところに住んでいると、シウマイの禁断症状が出てきて、「ああ~、崎陽軒が恋しい……」ってはじめて気がつくんです。冗談のように聞こえるかもしれませんが、神奈川県出身で他の地方に引っ越した人からはよく聞かれる話なんですよ。
 今は真空パックのシウマイもあり、たまにこれを補充して禁断症状に備えることができますが、やっぱり真空じゃない方が美味しいですね。
 
 そうそう、1日平均1万5000食売れるというシューマイ5個入りの「シウマイ弁当」は、710円のままで据え置くそうです。全国各地のいろいろな駅弁を食べましたが、客観的にみても、やっぱりこれが一番美味しいと思います。シウマイもさることながら、独自のブレンドと炊き方で冷めてもおいしいご飯が絶品です。米どころの駅弁がご飯の美味しさを前面に出してアピールしていますが、残念ながら崎陽軒のシウマイ弁当には適いませんね。

神奈川県の続き

 神奈川県民とシウマイの話を書きましたが、All Aboutの田舎暮らし「トカイナカを満喫!神奈川の田舎暮し」というコラムによれば、神奈川県は「焼売の一世帯あたりの購入金額/1位」だとか。しかも、餃子より焼売の購入金額が多いのは全国でも横浜だけらしい。
 宇都宮だ、浜松だと、ギョウザで対抗意識を燃やしているのを尻目に、クールにシウマイを食べる。その辺がいかにも神奈川県民らしいところです。

 シウマイはさておき、その他の神奈川県の名物をさらに探っていきましょう。

 神奈川県は江戸時代の東海道、そして文明開化の横浜とさまざまな文化の交流があり、そこから生まれた食も多いといえます。すき焼きの元になった牛鍋は横浜が発祥なのは有名ですね。

 では、神奈川県の名物といわれるものを思いつくままに取り上げてみましょう。

◎小田原のかまぼこ……ご存知、板付きかまぼこの代表格。本場の名店のものは高いけど美味しい。たかがかまぼこ、されどかまぼこである(なんのこっちゃ?)

◎小田原の梅干……東海道五十三次の宿場として栄えた小田原には古くからの名物が多い。今でこそ梅干しといえば紀州だが昭和までは梅干しといえば小田原だった。

◎大涌谷の黒たまご……箱根・大涌谷特有の酸性熱泥でゆでた真っ黒なたまご。1つ食べると7年寿命が延びるという。

◎湯河原のみかん……関東でみかんの産地といえば湯河原だった。冬は気候温暖な湯河原でみかん狩りをするのが昔は流行っていた。ミカン色の湘南電車に乗って家族で出かけた思い出をお持ちの方も多いのでは? 電車とミカンといえば冷凍ミカンというの懐かしい。

◎鯵の押し寿司……相模湾で多くとれていた小鯵を使った押し寿司。東海道線の名物駅弁として大船軒(大船駅など)と東華軒(小田原駅など)の二社がしのぎを削る。

◎相模湾の干物……相模湾沿いには、日照とか湿度の関係もあるのか他所では出会えない絶品の干物が多い。湯河原の温泉街にあるひもの屋の鯵の干物が特に好き。

◎鎌倉ハム……これが日本で最初に作られたハム。そしてこのハムを使い大船軒が明治時代に駅売りではじめてサンドイッチを発売した。

◎豊島屋の鳩サブレ……誰もが一度は食べたことがある鳩サブレ。でも、これがどこのお菓子かと聞かれると答えに困る人が多い。屋号の豊島から東京都豊島区の銘菓だと誤解する人もいる。正解は鎌倉である。鎌倉には他にも銘菓がたくさんある。

◎生しらす丼……茅ヶ崎あたりはしらす漁が盛んなところ。釜揚げしらすはよく食べるが、生しらす丼は未食。湘南ではこれを看板メニューにする店がたくさんある。以前はこんなにメジャーじゃなかったハズだが。

◎三浦のマグロ……別にここでマグロが獲れるわけでなく、三崎港はマグロの遠洋漁業の基地で水揚げが多いから。マグロの頬肉、目玉など、珍しい部位の肉が売られている。三浦は大根、スイカの産地としても知られる。

◎横浜の中華まん……巨大な肉まんも良いが、ゴマ餡のアンマンが好きだ。

◎川崎の焼肉……コリアタウンがあって本場の味が楽しめる。

◎久寿餅・せき止飴……川崎大師の門前に店が軒を連ねる。甘すぎない黒蜜の葛餅は美味しい。

◎サンマーメン……その名前を知ったのはそんなに前ではない。ネットで調べると多摩川から静岡にかけて食べられているラーメンというが、多摩川河畔の川崎ではサンマーメンという名称には馴染みがない。写真を見たら川崎で言う「もやしそば」に似ているようだ。

●恒例? お米チェック 日本穀物検定協会「平成18年の米の食味ランキング」より

神奈川 県西 キヌヒカリ A’

 神奈川県の田んぼって今は少なくなりましたが、私が子どもの頃には、川崎や横浜にもたくさん田んぼがあってザリガニとりに田んぼに入っては農家の人に怒られたり、用水路でドジョウをとったりして遊んだもの。
 その頃、横浜の八景島ではのりの養殖が盛んだったっけ。

 この30年くらいでそんな風景は激変してしまいました。

 私にとっては永遠のふるさと、神奈川県。
 老いたら三浦半島か大磯あたりで静かに海を眺めながら暮らしたいな。



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